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終わらないコロナ被害~~介護の現場から(2023/2/15)
 白崎朝子(介護福祉士・ライター)
終わらないコロナ被害~~介護の現場から(2023/2/15)

白崎朝子(介護福祉士・ライター)

1 危険な介護現場 


・介護現場の職員のコロナ罹患率は看護師の約2倍、医師の約4倍 (2020年5月の共産党の倉林明子議員の国会答弁)

・医療職に比べ感染症対策の知識不足
 


白崎さんが介護にあたって35年、

・介護現場は放置されたまま、特に高齢女性が放置されている。


・空前の人手不足、無資格でも採用され看護にあたり看護の学校にも行かせてもらえるが、疲れてて十分な勉強はできない状況です。

2 深刻な感染予防物資不足 

・第7波でも検査薬が不足

・第7波でも医療用(N95)マスク不足

→医療法人の場合は医療職が優先され、介護職員にマスクが支給されなかった例(介護職の罹患率が高かった沖縄のある特養ホーム)。

・マスクが支給されないので掃除や給食の係りの人たちも感染した。
・介護や特養には余り物しかこないのでマスクなしでクラスターに対応せざるをえず、職員と入所者の感染者が同数になった。
 
 


3 ワクチンの優先接種問題
 

・2021年のオリパラのときにワクチンの優先接種がなされなかった

2021年のオリパラで初めてのワクチン接種をした。障害者支援の人たちもデルタ株の罹患率が高い
 


首都圏の施設における職員の負担と利用者の死亡
 http://medg.jp/mt/?p=10501

・神奈川でも自治体や法人でワクチンには格差

・訪問介護ヘルパーは施設と違い優先接種されず「老老介護」のた め高齢者枠で接種したヘルパー多数


4 コロナ禍と職員の待遇悪化
 

・第1波による休業で2ヶ月無給で待機を強いられた非常勤女性 

・2020年冬 女性の介護職員がホームレスに...

・利用者の利用控えによる収入減でボーナスカット
 ・クラスターによる経費増大と収入減によるボーナスカット

・クラスターになるとゴミ収集も別途の経費で月1千万の赤字に

・良心的小規模事業所の経営難による倒産→大企業による吸収合併 と肥大化

・ベネッセ・ニチイ・・など大企業に吸収されたら、ハウツーも持ってゆかれて、非人間的時間割が採用される。

5 「陽陽介護」の実態 

cf 「いのちの初夜」~~隔離されたハンセン病患者が患者を介護 した例

・2020年4月~広島の知的障がい者施設のクラスター(入院した職 員による入院した利用者の介護)

・2022年2月 7波における首都圏の老人保健施設 


・「陽陽介護」をしない場合でも、10日や2週間と、職員や施設長 が不眠不休で連続勤務した事例多数。

・知的障害者施設で、2020年4月で認知症の人も荒れないでみなが協力的だった。


 

6 コロナ禍におけるジェンダー問題
 

・2020年の精神障害による労災認定は過去最多 で請求・支給決定 件数の 一番は「医療・福祉」。 男女別統計はないが、福祉職は女 性が7~8割のため女性の労災が多数と推察される。 


・待遇や収入悪化しているのは主に非正規雇用の多い女性。 →介護保険改悪でも、非正規の女性職員が不利益変更になる可能性 が指摘されている。

・ 彼女たちは要介護1の支援が多いから、保険改悪をされるとベテ ランの人たちが失職してしまう。時給だから不利益を被る。


 

7 コロナ禍で進むいのちの選別
 「医療・福祉」での命の選別は過去最悪です。

・杉並区の前田中良区長によるトリアージ発言

・高齢・障がい者は「延命措置を希望するなら搬送先はない」と言 われ、延命措置を断念する判断を余儀なくされた家族や管理職は多 数いる。


・2021年の川崎市の事例

市が福祉施設に入所者全員に延命するかしないかを聞けと命令

・2022年11月都内のある自治体の保健所の感染者に対する聞き取り で、「積極的治療(人工呼吸等)の希望の有無を保護者に確認して ください。保健所ではその確認は致しませんので」と明言され、障がい者支援施設の職員がひとりひとりの家族に毎回聞いていた。→私はこの自治体の地方議員に働きかけた。


 

8. 2類から5類になることへの現場からの声
 

・5類に下げて隔離や濃厚接触者対策をやめることは妥当。だが重 症化リスクのある利用者は多いので、個別判断が必要。マスクの着 用はまだしばらくはやめられないが、対策を症状のある人に絞り、 消毒などの作業は削減していくことになるのではないか。
 ワクチンの集団接種は続けてほしい。個別に接種に行くための介護 体制には、膨大な労力が必要。(知的障がい者支援者)


・ワクチン懐疑派の支援者からも集団接種でないと、ワクチン接種 できなくなる独居の高齢者がでるのでは・・という、意見も寄せら れた。

9 コロナ禍となり丸3年

・総合事業で有料ホームの生活援助に入ることが増えてきたがクラ スターが発生し、12月末から1月いっぱいケアに入れなかった。こ のような事例が続くと、ますます不安定な働き方になる。(訪問介 護事業所職員)

・安定した正職員・管理職は、主に福祉の大学をでた男性がなっ ている。

・第7波でのクラスター発生後、離職率は上がっている。過去最悪 の人員不足。(高齢者支援者)
 

・現場の職員は、もう体力気力の限界。(知的障がい者支援者)
24時間連続の5日間勤務もあった。



 ■まとめ■


コロナ禍で失業者が増えても、財務省交渉で官僚が言ったようには介護現場に人は来なかった。介護職を失業対策事業としてしか、捉えていないから、教育産業が儲かるような施策しか打ち出さない。


・介護は失対事業ぐらいに軽くみられていて、収入は最低のままで 重労働だから、続かない。

・慰労金を5万円もらっても焼け石に水、プラマイ0より − に。

・ベネッセ・ニチイなど研修には政府からのお金がきても、当の介 護担当者に直接のお金はこない。

・研修の勉強だけではとても介護はつとまらない、実地のケアにな ると逃げ出してしまうことが多い。

・損保ケアのコマーシャルみたいには、とてもそうは行かないのが 現実。


3年もの間、コロナ禍を支えてきた介護職員の処遇改善施策は申請 も複雑で、利用者の負担増であり、大企業に有利な条件のため小規 模事業所は申請すらできない。

・政府の施策は、大企業を生かして、弱いところ小さいところは潰 されたり 吸収されている。

・職員の疲れ切って殺人のあった介護施設ミューを吸収し、そこの 非人間的スケジュールをICTで導入している


さらに国はSONPOケアと結託、介護現場のICT化の実証実験 を進めており、施設の介護職が現行の3:1から4:1にされよう としている。3:1でも夜勤は20~30:1という現場がほとん どである。 ICT化の実証実験をしている現場の認知症対応にたけたベテランの離職率は上っており、むしろケアの質は下がっているとの、声も ある。


 ・SONPOケアなど、大企業が儲けるためにICT産業で機械導入を企 てるが良し悪しです。

 ・実証実験は失敗。介護はアナログだから細かいスケジュール通りにはいかない。

・ICTは介護士のラインに分刻みで入るそうだけど、無視するしかない、人の営みを機械で管理はできない

・今、介護の記録はデジタル化されて煩雑 (事故が起きた時に訴えられないため)


このまま5類に移行すれば、介護現場へのダメージは、医療現場よ りも厳しいと推察され、それはそのまま利用者のダメージに直結する。介護職員に声を上げる余力はない。家族や自身が要介護になる 前に、運動を展開して欲しい。


・介護士自身が、介護家族やDVだったりの人が多いので、共倒れに なったりして、とても声をあげる勇気も気力もないのです。



・しかし、介護士の仕事は互いに癒されるやりがいのある仕事なのです。外国からの安い人手でなく、ちゃんと日本人の待遇をよくす れば、これからの高齢者が増える日本社会で、頼もしい素敵な職場 になれると思います。


・政治の担当者には、介護福祉への当事者意識をもって、これまで のベテランを失職させることなく、若者も大切に育てていけるような 未来に暮らしに希望をもてる職場になるように 待遇改善など 生きた対応をして ほしいですね。

( 2023.2.15 北京JACズーム会議 文責 池辺幸惠 ) 

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